「 額縁=絵画・写真のような平面物を飾る 」
そんなイメージが強いのですが、額縁には立体的な「物」も飾れます。
今回は、物。
といっても、あなたにとっての「特別なモノ」を飾るための
箱型額縁・立体額についてお話しいたしますね。
飾りたいモノは十人十色。
「モノ」には、平面とは違うそれぞれの個性や特徴があります。
その多彩さに寄りそい、「モノ」の魅力を引き立て、
一つひとつ吟味して作ることが出来るのがオーダーメイド額縁の強みです。
これは飾れるのかな? これを飾りたいけれど…
難しいと思われがちの額縁の世界ではありますが、
majakkaの工房で大切にしている製作のプロセスをお伝えすることで、
ご注文をご検討されているかたの一助になれましたら幸いです。
箱型額縁(立体額)ってどういうもの?
飾るものの形状・厚みに合わせて作る、奥行きのある箱のような額縁です。
お客様の「こんなイメージで飾りたい」という希望をお伺いし、
額縁のデザイン・仕様・形状を決めていきます。
形は「箱一体型」あるいは「額縁背面に箱を設置」した2タイプです。
極端に奥行きが出てしまう、あるいは重みがある場合は、
壁掛けではなく、置いて飾るご提案もしております。
大物の作品を飾る額縁には、家具のような重厚なものもあります。
額縁屋と家具屋が協同のmajakkaならではの額縁です。
大切なこと(1)・採寸
立体物を飾る要となる奥行きを決めるため、
飾られるモノの特徴をつかみながら、丁寧に採寸していきます。
「こう飾りたい」「この向きで飾りたい」「こちらの面を見せたい」
という、どう飾り、どう見えると物が美しいのか。
その点に配慮しながら、採寸していきます。
見せる向き角度によって奥行きの長さが変わってくるので、とても大切な作業です。
大切なこと(2)・スペーサー
額縁の内部に空間を作る薄い板「スペーサー」は、箱型の額縁の大切な要素です。
この内部空間、奥行きが浅くては中に飾るモノが窮屈に見えてしまうし、
深すぎても暗く見え、映えません。
「モノ」それぞれに美しく見える奥行きが存在しています。
美しいと感じる基準は人それぞれなのですが、
一点に集中しすぎず、トータル、全体のバランス感ふくめ、
その「間」を見極めていきます。
大切なこと(3)・設置
お客様の「飾りたい」という気持ちと一緒にmajakkaに到着する「モノ」には、
一つひとつ、大切な意味や想いがこもっています。
だからこそ、どのように額縁内に設置・固定するのかは、とても大切な項目です。
丹念に糸で縫い付けたり、おもてに見えないようテグスや細いワイヤーを用いたり、
飾るモノに合わせ木で専用のフックを作ったり…
お客様の想いと気持ちに寄りそって、ご相談を重ね、最善策を見つけていきます。
(majakkaでは安易に接着剤で固定することは避けています。
もちろん、物の都合やお客様が希望される場合は接着剤の固定もあります)
いつかまた、どれだけ先のことになるのかは、わからなくても。
モノをモノとして、手に取りたい、持ちたいと思う時が訪れるかもしれない。
その想いに応えられるよう、外せる仕様にする。
飾るモノと飾る気持ちに敬意を表し、
わたしは、額縁と向き合い、製作しています。
「何を飾るのか」よりも「なぜ飾るのか」
飾られるモノには、それぞれにストーリーが在ります。
初めて見つけたもの、忘れられない思い出のつまったもの、
贈りものとして気持ちを受けとったもの・・・
ストーリー・物語があるからこそ、かけがえのない大切なモノとして心に刻まれ、
「わざわざ」飾ろう、という想いに辿り着きます。
わざわざには、特別・格別という想いがこめられていて、
飾りたい「モノ」にも、その想いが必然的に注ぎ込まれています。
人によっては大切という想いが高じて、仕舞い込んでしまうことも…あると思うのですが、
それを眺めることで、気持ちに安らぎが生まれたり、ワクワクと喜びを感じたり、
モノを通じて心にプラスの変化が起きることを、人は知っているのでしょう。
一人ひとりにとって、「なぜ飾るのか」その理由はさまざまですが、
依頼主となるお客様の多くは、その「なぜ」がハッキリとしています。
額縁の役目は、その鮮明な「飾りたい気持ち」をうけとめ、
よりくっきりと際立てるための装置でもあります。
だからこそ、安易に物を収める保管箱ではなく、
モノが飾られたことで生き生きと美しく見える。
まさに、命が吹き込まれた、とでもいうのでしょうか。
飾るという尊い行為に応える額縁を目指して、
日々、製作しています。
あなたにとっての「大切なモノ」は、あなたの心をてらす灯りになります。
そして、「大切なモノ」は誰の手中、胸中にもあります。
その「モノ」に対して、ご自身の気持ちを表せたら…と想うことがありましたら。
ご相談いただけますと光栄です。