御父様の仕事を納める標本箱のような額縁
建築内装には欠かせない「廻り縁」を製作されていたご依頼主の御父様。
その仕事を額縁に納めて飾りたいということで、長い時間をかけて、一緒にじっくりと計画を立て、丁寧に製作を進めました。
少し進むと先が見える、そう、こういう景色に向かっているんだ。
お互いに目指す方向に意識を寄せながら、互いに確認しながら歩を進めました。
たくさんある廻り縁の、どれを同じ画面に集め、どのように並べるか。
本来、額縁内に飾るモノの配置等はmajakkaで行うのですが、今回の依頼に関しては、お客様ご自身の手でお願いしました。
なぜなら、お客様自身で行うことで、飾る意味・納める意味の価値が高まり、御父様の仕事と向き合う対話の時間が生まれ、さらにお客様にとってかけがえのない豊かな時間が生まれると確信していたからです。
額縁には、飾るモノを介して、積み重ねた時間や想い、交わした言葉、空気のにおい等、眼には見えないものが投影されていきます。その見えないものが、今回のご依頼には、たくさん詰まっていました。
額縁に「何を飾るのか?」ではなく、「なぜ飾るのか?」
額縁の本質を問う、誠に深い神聖な仕事になりました。
【 one point 】
同じデザイン形、同じサイズで4点製作し、それらをピッタリ重ねて置くことも出来るように額縁の裏側を一段低くして製作。キャプションのベースも共材タモで作り、文字サイズ等もこだわり全てが一体感で包まれるように配慮しました。