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2020-08-25

無垢の木とコルクの掲示板

こんにちは、majakka (マヤッカ) です。

majakkaのこだわりは、家具と額縁と、それぞれの製作を担う作り手がいること。
普段は、ご注文内容に合わせて、それぞれのアイテムに応じた作り手が、
お客様とのやりとりから納品までを個人で担います。

時おり、家具屋と額縁屋と2人いるからこそのご注文が舞い込むことがあります。

飾る・壁に取り付ける「枠」としての要素があり、
掛けたとき(置いたとき)のサイズ感やバランス、見え方、色や質感にも気を配りたい。
ただ機能だけを満たしていれば充分というわけではない。
そんなご要望の感じられるご依頼には、額縁屋と家具屋が一緒になり、仕事を進めていきます。

互いの持ち味・特長を存分に活かせるので、
とてもありがたいご依頼だなと常々実感しています。

今回は、そんなアイテムとしてご注文をいただいた
「無垢の木とコルクの掲示板」をご紹介いたします。

マンションの入り口の壁に掛ける掲示板ということで、
入居者様が毎日、目に触れるものであり、
道路からも見えマンションの顔の一部にもなります。
機能を重視した市販の金属やプラスチック等の無機質な掲示板ではなく、
もっと、あたたかみのあるものにしたい。
というご要望でした。

「あたたかみ」という言葉には、様々な想いが込められていると、
わたしたちは、感じています。

お客様との対話の中から、その想いを紡ぎながら、
色かたちで表現していきます。

・無垢の木、木の質感が好き。
・掲示板の色は「木」の雰囲気に合う自然な印象のもの、場の空間になじむもの
・マンションオーナー(お客様ご自身)の気持ちが入居者様に伝わるもの
・使い心地の好いもの

対話から紡いだ、これらのことを大切にしながら、質感・色味を確認していきます。

まず、色。
掲示板の顔となる色は「グリーン」に決まったけれど、雰囲気は様々。
しっくりと納得する色を見つけていきます。

今回、掲示板のベースとなるコルクに塗ったものは
ターナーの『ミルクペイント for ガーデン』
https://turner.co.jp/paint/milkpaintgarden/
majakkaで開催するワークショップ等でお世話になっているターナーさん。
快く相談にのっていただき、用途に合ったものをご紹介して下さいました。

ポイントは…
艶のない落ち着いた質感であること。
屋外の使用に耐えられること。
そして、時間が経ち古色をおびた際も、説得力のある色でいられること。
塗りたてではなく、風雨にさらされ日を浴び、朽ちてくることを想定して色を選び考えます。

これは、額縁を作る際と同じ思考です。
塗りたてが美しいのではなく、古びることを最初から想定した色創り。
時を重ねることで愛着が増し、心と眼に映る色味が深まることを望みながら、
色と向き合っています。

使い心地という点では、コルクの質感と厚みに配慮しています。
薄い合板に薄いコルクシートがペタッと貼ってある市販品では、
鋲の刺さりが甘く、掲示物が舞いやすくなります。

しっかりとした厚みが、ギュッと「画鋲刺してるな」の実感につながり
見た目と刺し心地に安心感が生まれます。

さらに、今回の掲示板でいちばん大切にしたことは、お客様の気持ちを反映するものを作るということ。
そこで、ご提案したのは、ネームタグを作ることでした。
マンション名と竣工年を刻み、そこにお客様ご自身に描いていただいたイラストを飾りました。

「トンボの絵、可愛いですね。なんで、トンボなんですか?」
とお伺いすると

「妻が贈ってくれた扇子にトンボの絵が散らしてあって。それが素敵だな、良いなって思って」
笑顔でお話ししてくれた様子が、とても印象的でした。

このプレートを掲示板に固定したとき、
とても、majakkaらしいご依頼をいただけたなあと、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

物っていうのは誰でも作れます。
でも、わたしたちが作り届けたいのは、物を超えた「モノ」です。
ご依頼主の気持ちを反映させる想いを対話の中から紡ぎ、モノにのせていくことで、
モノと人の間には、かかわりが生まれていきます。
その、かかわりを創っていくことがmajakkaの仕事であると、わたしたちは自負しています。

今回のご注文も、まさにそんな想いのつまったモノに仕上がりました。
年月の経過とともに古びる無垢の木の風合いや、グリーンの色の落ち着き。
それらが、そこで暮らす方々の、暮らしの場に対する愛着につながることを願いながら…
心あたたまるご依頼、本当にありがとうございました。

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