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2020-09-17

透明の額縁

こんにちは、majakka (マヤッカ) です。

この夏は、本当に暑かったですね。
9月も半ばを過ぎ、だいぶ過ごしやすくなりました。
朝夕の秋の気配には、ホッとしております。

さて、そんな暑い夏に、
フワリと涼しくなるような『透明の額縁』のご依頼が、
偶然、重なりました。

作品を表と裏と2枚のアクリル板で挟み、手彩色と無垢の木で彩る、
シンプルでありながら、作品の、ありのままの姿をひきたてる額縁です。

どちらの作品も、紙面いっぱいに作品が描かれ、
広々とした作品の世界観をマットボードで一部を覆い、
断ち切ってしまうのは残念…
何か良い方法はないかな?ということで、

作品の「声」や「表情」を、あるがままに見せる、
アクリルサンドの仕様で製作いたしました。

「書」作品をお持ちになったお客さまは、

「暑中お見舞いでいただいたハガキなんです。
手にした瞬間、ふわーっと風が吹き抜けたんです」

そのときの鮮烈な印象と感動をお話ししてくださり、
そのサーっという爽快感そのものを飾りたい、というご希望でした。

では、その「風」のイメージを、「色」で表現すると、どんな色か?
額縁周囲に入れた色の濃淡のリズムは規則的に?あるいはにランダムに?
一つひとつ、作品を引き立てる要素を紡ぎ出し、
お互いの想いを共有して、完成のイメージに近づけていきました。

もうひとつは、描いていただいた自画像を飾りたいというご依頼でした。

使わない枕を必要としてる人・必要としている場へ寄贈し、
そのお礼としていただいたアール・ブリュット作品。

「似てる…かな…?というと、どうかな?なんだけど、
やっぱり、うれしいですよね、こういうのって」

一言一言、言葉を選び、はにかみながらお話しされるお客さまの表情には、
言葉通り、うれしさが表れていて、こちらまで、うれしくなりました。

額縁の仕上がりや雰囲気はお客さまのアタマの中に出来あがっていたので、
それを言葉で表現しイメージを共有しながら製作しました。

木肌を調えない素材感ある無垢の木+白塗料の額縁は、
童話の世界のような作品の持ち味を生かしたPOPで愉し気な仕上がりになりました。

どちらの作品も、額縁にふちどられることで、
その世界を、より色濃く、広く、深く。
手のひらの上で眺めていたときよりも、さらに。
みる人の心に響くものになったのではないかな。
そう思うのです。

作品を隠すことなく、ありのままに飾る。
アクリルサンドの額縁。

「書」作品を飾る額縁も、自画像を飾る額縁も、
どちらも、お客さまご自身の内面を映す鏡のように、
キラキラと輝いていたことが印象に残りました。

額縁には、ご依頼主のお人柄もあらわれると。
製作のたびに、わたしは感じています。

今回のご注文からも、
あるがままを大切に、おおらかに。
自然体な姿で物事を受け入れていらっしゃる空気をお客さまから感じとりました。

「このひとには、この額縁」

ピタッと、おさまった瞬間。
それは、離れた点と点とがつながる、美しい帰着点であるような。
そんな気がするのです。

これからも、一人ひとりにとっての帰着点を探しながら、
お客さまの心に灯のともる額縁の製作を続けていきたいと思っています。


透きとおった風を飾る額縁
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感謝の気持ちと「私」を飾る額縁
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