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2022-02-11

額縁のなかに飾るモノに命の宿る「なぜ飾るのか?」という理由

こんな気持ちがあって、額縁に飾ろうってご依頼してくださったんだなあ…
そんな、こころがポッとあたたまるエピソードをご紹介させてください。

majakkaでは遠方でご来店のむずかしいお客様とは、
メールのやりとりでご希望をお伺いしながら、
額縁のご注文製作を承っています。

去年のことです。
こんなご依頼のメッセージをいただきました。


娘の絵を額装したいと思っておりお問い合わせ致しました。
絵といっても大層なものではなく段ボールの裏に何気なく描いた物です。
ただ私にとってはとても大切な思い出深い絵です。
段ボールに描いた絵でもご対応頂けるのでしょうか。


もちろん飾れます!
わたしは、すぐに返信しました。

好みの雰囲気や、サイズバランス等を、
行き交うメールの文面でお互いに伝えあいます。

「こうなるかな?」
「こんなだったら、どんな感じだろう?」

こちらからの提案に対して、よりイメージの拡がるアイデアが返ってくる。
つねに、飾りたいモノに対する想いが溢れ、
カタチにすることに意味がある。
そんなお客様の気持ちが伝わってくる文面が届いていました。

メールオーダーの特長は、
少しづつ、ひも解いていくことで、見えてくること、気づくことがある点。
最初から、すべてが見通せているわけではなく、
お互いに、ゆっくり・じっくり考えながら、
メールをやりとりすることで、見えてくる着地点があります。
それを掬い上げてかたちにしていくことが、作り手の仕事であり、
とても大切なことだと、実感しています。

メールは文章のやりとりだから、
声も聞こえず、体温も感じられない。
そう思うかたも多いと思うんです。

でも、そればかりではない。
と、わたしは感じています。

まだ見えない完成像を手繰り寄せながら、想像を巡らせ、
真摯に向き合ってくださる。
そんなメールの文面からは、お客様のお人柄とともに、
飾りたいモノが、そのかたにとって、
どれだけ大切なモノであるか。
心の芯に、グッと伝わってきました。

だからこそ、作り手のわたしの思う「大切」だけで、
製作を進めてしまうのではなく、
お客様ご自身の言葉で「なぜ飾るのか」を教えていただきたく、
そのことを訊ねてみました。


絵は現在11歳になる娘が7歳の時に
描きました。
当時仕事の関係で海外で暮らしていましたが
引越荷物を入れた段ボールを引っ張り出し
切れ端に弟と遊びがてら描いた物です。
優しい表情や丸い足など可愛らしいと
思いました。

娘も生活が様変わりしチャレンジングな
日々を過ごしていたと思います。
その様な中でも身近な物に
絵描きし楽しむ姿を見て
日々の暮らしに楽しみを見つける
大切さに気付かされた次第です。

因みに絵のタイトルは「とらくん」です。
裏面に下書きの絵が描いてあり
タイトルが書かれています。
ライオンちゃうんかい、とツッコミを
入りたくなりますが、これも斜め上を
行く彼女のキャラクターです。


何を飾るのか、
それを、光り輝かせるのは、
「なぜ、飾るのか」
という、理由。

額縁には、見えないものを見えるようにする役目があります。

見えないもの、
それは「あのとき」の想いや、
「あの場」で感じたこと。

それは、繊細で、儚げで、
いつしか色褪せて消えてしまうのかもしれません。

だからこそ、それを留めておく「箱」として、
人間は額縁を必要としたのではないかと思うんです。

遠方からのメールオーダーでも、
ご来店されて、お話しをお伺いしても、
どちらからも、あなたにとっての、かけがえのない額縁は生まれます。

「飾る理由」をwebサイトに掲載することを快諾してくださったお客様に、
感謝の気持ちを贈ります。
そして、一人でも多くのかたの心に「あたたかいもの」が届くことを願って。


【 メールオーダーについて 】・・・詳細ページは、こちらからどうぞ

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